網膜裂孔(もうまくれっこう)、網膜円孔(もうまくえんこう)、網膜剥離裂孔(もうまくはくりれっこう)のレーザー治療(レーザー手術)と患者さんの声
当院では網膜裂孔、網膜円孔のレーザー治療の技術に特に自信を持っており、患者さんや紹介して下さった先生方などから高いご評価を頂いています。網膜裂孔や網膜円孔の治療は迅速な対応、レーザーによるしっかりした焼付けが大切です。また、眼科で「網膜に薄い部分がある」といわれた場合も、レーザー治療をやっておいたほうがいい場合があります。私は発見したら患者さんとお話しあいの上、了解が得られればその場で治療することにしています。網膜ははがれるときは1日ではがれますからね。
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網膜裂孔とは、網膜、すなわち目の奥にある、カメラで言うとフィルムにあたる部分の一部が、目の中にある硝子体(しょうしたい)というゼリー状のものに引っ張られて、びりっと破れた状態です。
また、網膜にもともとうすいところがあり、そこが経年変化でどんどん薄くなってきてついに丸い穴になってしまう場合もあります。これを網膜円孔(もうまくえんこう)と呼んでいます。英語では網膜円孔はretinal
hole 網膜裂孔はretinal tear、二つをあわせてretinal breakと言うのですが、日本語ではretinal breakに相当する良い言葉がありませんので、ここでは網膜円孔と網膜裂孔をあわせて網膜裂孔と呼ばせてください。
網膜裂孔から眼内の水が網膜の下にしみ込んで、網膜の一部がはがれている状態を網膜剥離裂孔と呼びます。小さな網膜剥離の事です。網膜裂孔ができた場合は、発見された時には網膜剥離裂孔に進行している場合がほとんどです。
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上の写真は、網膜を直接見れる特殊なレンズで見ています。
左の写真の矢印の部分が、網膜裂孔です。オレンジ色の網膜が、一部V字が横向いた形で濃くなっているのがおわかりいただけると思います。その部分が網膜裂孔です。網膜は半透明の白っぽい湯葉のような膜で、網膜の裏は濃い茶色なので、破れているところだけが濃く見えます。この網膜裂孔はすでに周りが網膜剥離になり始めていますので、網膜剥離裂孔といって、非常に危険な状態です。
右の写真はレーザー後です。白い点々とした部分がレーザーで固めたところです。3列にかなりしっかりレーザーで固めておきました。いわば、スポット溶接をして、網膜がそれ以上はがれないようにするわけです。この患者さんはこれ以上網膜がはがれることなく、何年も普通に生活をされています。
網膜裂孔、網膜剥離裂孔は、放置しておくと、そこから眼内の水が網膜の下にしみこんでいき、網膜が大きくはがれた状態、すなわち、網膜剥離(もうまくはくり)に至ります。なので、これは文句なしにレーザー治療の適応です。
また、はっきりと破れていなくとも、うすい部分(網膜格子様変性、こうしようへんせい)もよく見られます。眼科では、「網膜にうすいところがある」とか言われることが多いですね。これの扱いが難しいんです。
「眼科で眼底検査を受けたときに網膜に薄いところがあるけど放置しといていい、といわれてから不安で不安でしかたありません」といって、よく患者さんが受診されます。
正直、「そんなんやったら最初からなんにも言わんといてください!」という感じですね。
確かに、薄いところはほっておいてもなにも起こらないかもしれませんが、将来網膜裂孔ができて、網膜剥離になる可能性は普通の部分よりずっと高いです。うすいところがびりっと裂けて穴になる場合もありますが、先に述べたように、どんどん薄くなってきてついに網膜円孔になってしまう場合もあります。
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網膜剥離の手術をいつもいつもやってるとわかるのですが、印象としては3分の2ぐらいはもともとあった網膜の薄い部分に網膜裂孔や網膜円孔ができてはがれてきたパターンです。また、手術の時とか術後に、手術のショックで別の薄い部分が破れることもよくあります。実際手術でさわってると、薄いところはほんとうに弱いということがわかります。なので、ほっておくのはとってもこわいです。
網膜裂孔が発生した場合、そこから網膜がはがれないよう、レーザー光線で治療します。すなわち、レーザー光線で網膜を溶接します。また、網膜がきわめて薄い場合も、患者さんと相談の上、必要ならば予防的なレーザー治療を施行しています。網膜剥離になるかもしれない、と心配しながら生きていくよりずっといいです。僕自身、薄いところがあれば迷わずレーザーをうってもらいますし、うちの職員さんにもうっています(下記の患者さんの体験談にあり)。
横浜相鉄ビル眼科医院では、患者さんの同意が得られれば、即日治療しております。網膜裂孔はスピーディーな治療が命です。予約をとって治療、なんで、まどろっこすぎます。その晩に網膜剥離になったら一生悔やんでも悔やみきれませんから。
レーザー治療の技術に関しては、全ての医師が豊富な経験を持っておりますので、任せてください!当院では、右の写真のように、きっちりとしっかりとレーザーをうって治療するよう全医師が心がけております。
2007年10月4日 テレビ朝日 スーパーJチャンネル ナゼダス調査隊 網膜剥離
にて、横浜相鉄ビル眼科医院における網膜裂孔、網膜はく離裂孔、網膜はく離に対する治療をご評価いただき、テレビ朝日さんに取材して、特集していただきました。ありがとうございました。(患者さんが実名で出てくださっていますので、動画は非公開とさせていただいております)
上の写真とは別の患者さんの、レーザー治療前の映像は
http://www.youtube.com/watch?v=Ohv59jXVOYE
レーザー治療直後の映像は
http://www.youtube.com/watch?v=8Xs_nEEy3zY
レーザー治療後1年の映像は
http://www.youtube.com/watch?v=aWkXK4PhZxc
をご覧下さい。患者さんを診る顕微鏡にビデオカメラがついており、入ってきた映像を、ビデオカメラと医師の目に分けています。医師がクリアーに見えて最高の治療をするために、あえてビデオカメラへの配分を少なめにしてありますので、少々見づらい映像になっていることをご容赦いただければ幸いです。
以下は、網膜裂孔、ないしは網膜に弱い部分がある患者さんからよく聞かれる質問と答えです。
質問:網膜裂孔にレーザー治療を受けたときに、その後の生活にどれくらい影響がでますか?どれぐらいで日常生活に戻れますか?
答え:日常生活にまったく影響なしで、即座に戻れます。その晩からお酒を飲んでもおふろに入っても大丈夫です。患者さんにやさしい治療ですね。
質問:一人で電車で帰れますか?
答え:はい、大丈夫ですよ。
質問:費用はどれぐらいかかりますか?
答え:裂孔の程度により、3割負担で検査料込みで4万円ないしは6万円を見ておいてください。1割負担だとその3分の1です。これは国で決められている額です。高いですが、レーザーの機械が1千万円すること、それからわれわれの蓄積してきた技術を買えること、網膜剥離になるリスクを回避できることを考えると、高くはないと思います。網膜裂孔のみですと安いほうになるのですが、網膜裂孔ができるとすぐにその周りがはがれ始めますので、見つけたときにはほぼ100%網膜剥離裂孔になっていますので、6万円を見ておいていただければと思います。
質問:生命保険に入っているのですが、手術給付金は出ますか?
答え:かなり多くの会社で出るみたいですので、保険会社さんに問い合わせてみてください。問い合わせる時の手術番号はK276です。出る場合は、診断書を送ってもらえますので、それを受付に直接出してください。遠方の方は送付していただければ書いて送ります。すべて、医師にではなくて、受付にお問い合わせくださいね。
質問:痛いですか?
答え:多少ちくちくする場合がありますが、みなさん大丈夫ですとおっしゃいます。特に、パスカルレーザーを導入してから、ほとんどの患者さんに、ほとんど痛みは感じなかったといわれますね。
質問:レーザーによる副作用はありますか?
答え:人によってはレーザー部がしばらくちょっと光って見えるような感じになることがあります。しばらくたつと消えたと言われます。理論的にはレーザーをうった部分に視野欠損感が出ることもありえますが、今まで10台の少年一人に言われただけです。若い人は視野が広いのでしょうか・・・その後言われないので、それも消えたのかもです。
質問:レーザーの後、いつから通常の生活ができますか?
答え:即座に通常の生活をしても良いです。コンタクトレンズは翌日からにしてくださいね。
質問:運動はいつから良いですか?
答え:レーザーをうつまではものすごく弱い状態であったわけで、レーザーをうつと、直後から今までよりはずっと強い状態になります。
なので、「レーザーをうったからといって、今までやっていた運動をレーザー後に制限する理由が見当たらない」と考えます。
しかし、レーザーを打った部分の網膜は、3ヶ月ぐらいかけてどんどん下の層との接着が強くなっていくのですが、それまでは、術前よりは強いですが、何もない部分よりは弱いことは町がないです。その間は、状況が許すなら、激しい運動はしないほうが良いと考えます。
目をぶつけるような運動(ボクシング、相撲、激しい夫婦げんか?!・・・ほんとうに夫婦げんかで網膜裂孔になる人もいます・・・)は一生やめたほうが良いと考えて下さい
質問:
レーザーをうつと逆に網膜に穴があくと先生に言われたのですが・・・
網膜にレーザーを打つと、そこが収縮して他の部分に穴があくと言われたのですが・・・
答え:自分らのチームでは今まで多数の患者さんを治療していますが、幸い経験はないです。網膜裂孔ができたということは硝子体による網膜の牽引が広い範囲で起こっているというわけで、当然同時期に他の部分に網膜裂孔ができる可能性があります。また、網膜円孔の場合も、円孔ができるぐらい網膜が弱くなっているというわけなので、他の部分に同時期に円孔ができることもあるでしょう。この同時期に偶然できた他の孔を、先生や患者さんがレーザーでできてしまったと錯覚しているケースも多いのではないかと思います。
質問:眼科に行って、「網膜に弱い部分があるが、レーザーをうつほどではない」といわれました。不安です。どうすればいいですか?
答え:弱い部分が将来どうなるか、だれもわかりませんのでなんとも判断のしようがないのですが、網膜剥離になったときの辛さをよく知る自分は、積極的にレーザーで補強しておくのが好きです。少なくとも眼科医はほとんどみんなレーザー治療を受けるでしょう。もちろん患者さんとのお話で決めますが。
mail: otaka@isao.com
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