網膜上膜(もうまくじょうまく)、黄斑上膜(おうはんじょうまく)、網膜前膜(もうまくぜんまく)、黄斑前膜(おうはんぜんまく)の手術

網膜上膜と黄斑上膜と網膜前膜と黄斑前膜はすべて同じ病気で、呼び方が違うだけです。現場ではこの4つの言葉が混同されて使われていますので、すべて表記させていただきました。当院医師は、この病気に対し豊富な診断と治療の経験を持っております。お困りの方はご相談ください。

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この疾患は、英語で epi retinal membrane と言います。直訳すると網膜上膜ですね。ですが、臨床の現場では網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜と4種類の呼び方があります。網膜上膜、網膜前膜というのは黄斑部以外の膜も含むわけですが、黄斑部以外の膜は問題にならないし、めったに存在しませんので、すべてが同義語として使われているというわけです。ややこしいですが、どうしようもないですね。自分たちは通常は英語を略してイーアールエムと呼んでいます。日本語で言う時は黄斑上膜と呼んでいます。

網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜は、網膜、すなわち目の奥にある、カメラで言うとフィルムにあたる部分の一番大切な中心部分(黄斑部)に膜がはって、物がゆがんで見えたり見づらくなったりする病気です。なんでよりによってここだけ?といいたくなるぐらいに、中心部分だけに膜がはります。

なぜ網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜が生ずるのかは厳密には判明していないのですが、目の中の細胞が長年かかって網膜の中心部に蓄積して膜状になったといわれています。寝ているときはこの部分が一番底になりますからね。

網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜は良性の疾患ですが、張った幕が厚くなってくると収縮し始めるので、その時に網膜を引っ張ってゆがませますので、物がゆがんで見えるようになります。

なので、不便をお感じになるようなら手術、ということになります。

ただし、いくら丁寧にやっても、当然網膜から、そこにべったりへばりついている網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜をはがすときに網膜に負担がかかりますので(網膜は非常に繊細ですから、少しの外力がかかるだけでも機能が落ちます)、術後も視力が完全に戻らない場合があります。なので、矯正視力が0.5を切る様ならばやり時、と考えます。

ですが、患者さんが非常にお困りの場合は、0.5まで落ちないうちに手術をすることもあります。「視力はそこそこ出るのだが、それは単に視力表の輪の開いているところがわかるだけで、ゆがんで見えるので不便で仕方がない」と患者さんはおっしゃいますので、そういう訴えを解決してあげることができれば、と考えております。

下の左の写真が術前です。網膜中心部に膜がはっている感じがわかっていただけますでしょうか。これは、40歳でこのような状態になった患者さんです。通常、高齢者に起こることがほとんどですが、まれに若年者に起こることもあります。

右が術後4週間です。網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜がきれいになっているのがおわかりいただけると思います。

   

網膜の断層写真(OCT)を見てみましょう。

以下が正常網膜の断層写真です。中心部分がややうすくなっています。

 

下の写真が網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜術前のOCTです。網膜上にある膜(網膜上の赤っぽいところ)と、それに引っ張られて網膜が膨れているのがおわかりいただけると思います。

 

術後4週間のOCTです。正常網膜と比較するとまだへなへなしていますが、だいぶ状態を回復していることがおわかりいただけると思います。この後さらに網膜は平らになっていきます。

網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜の手術は、まず眼内の硝子体という部分を除去してから、網膜上の膜をはぎます(硝子体を除去しないと、網膜に到達できないからです)。言うは簡単ですが、ものすごく薄い膜ですし、網膜がいっしょに破れることもありますので、すごくすごく難しいですが、これをきっちりと施行するのがプロのテクニックです。

硝子体手術は入院で手術、というのが一般的です。入院手術をご希望の方は当院土曜日外来担当医師の秋山医師が常勤でいる東京医療センターに紹介して秋山先生に手術をお願いしております。

だたし、この疾患は日帰りでの手術も可能です。当院では鄭医師の開発した目に負担の軽い手術方法を駆使し、網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜の日帰り手術に対応しております。

上記の40歳の患者さんは院長の私大高が以前に執刀した症例で、その頃は網膜硝子体手術を若い医師に指導しておりました。その私から見て、どちらの先生も、技術は特Aレベルです。


手術を受けた患者さんのカルテは

http://www.youtube.com/watch?v=VaykwejvfPY

ご覧ください。典型例を、いい情報もマイナス情報ももすべて含めて提示しています。手術をお考えの患者さんにとって、非常に参考になると思います。


以下、網膜上膜、黄斑上膜、網膜前膜、黄斑前膜に関するよくある質問です。鄭先生がまとめて大高が補足しました。


よくある質問:一般的な事

Q 母が黄斑上膜と診断されていて、でも手術は失明してからでないと出来ないとおっしゃられているみたいなのですが(2・3ヶ所の病院でです)もう今視力も(片目)0・3ぐらいにまで落ちてきてだいぶものが歪んで見える?と嘆いております。これは本当にもう失明してからでないと、手術はできないのでしょうか?
A 失明してからする手術はほとんどありませんので、コミュニケーションに関して何か問題が発生しているのではないでしょうか。視力低下の自覚・歪みの自覚、などがある場合に、黄斑上膜に対して硝子体手術を行うことを検討しますので。

Q 貴医院では黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)を短い期間で治療していただくことは可能でしょうか?
A 横浜相鉄ビル眼科医院では、日帰りで黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)の硝子体手術を行っております。通院予定は、術前に1回と、術後は通常は手術翌日、翌々日、術後1週間目、それから徐々に間隔を開けて経過観察することになります。

Q できれば手術を早い時期にしたいのですが可能でしょうか?
A 定期硝子体手術は月1〜2回月曜日に行っております。急いだ方がいい、どうしてもお急ぎの事情がございましたら、臨時手術を検討させていただきますので、遠慮なくご相談ください。

Q 入院と日帰りで手術内容に違いはありますか?
A ありません。

Q 黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)の日帰り手術に伴うリスクはあるのでしょうか?
A 日帰りと入院、それぞれで行う手術に伴うリスクに大きな差はないでしょう。

Q 日帰り手術が可能とのことなのですが、手術後一人で3時間半ぐらい電車に乗って、家まで帰ることができるでしょうか?
A 不可能ではありませんが、体力的にハードでしょう。翌日・翌々日は診察を受けていただきたいので、当院近くのホテルに宿泊されることをお勧めします。ホテルプラムコスモY、ベイシェラトンホテル、ホテルキャメロットジャパンなどが近いホテルです。

Q 手術の予約をする予定ですが、黄斑上膜の手術をすると「術後早期に視力が大幅に低下し、場合によってはほとんど何も見えなくなることがあります」といただいた説明書に書いてありましたが、どのような場合でしょうか?
A 気体を入れた場合、屈折力の関係で、光が網膜に結像しないので、術後早期に視力が低下しますが、気体が吸収されると視力は回復します。また、稀にですが、膜に血管が絡んでいる場合は、はがすことにより眼内に出血して、術後早期に視力が低下することもあります。

Q 鄭先生の行われる手術は独自の手法ですか、また他医との違いはございますか?
A 執刀医により若干の違いはありますが、根本的には同じ手法です。25ゲージ硝子体手術という術式です。

Q 術前の注意点は何ですか?
A 術前は3日間しっかり抗生物質の点眼をすることが重要です。

Q 手術当日、家族などの付き添いが必要でしょうか?
A 付き添いの方がおられれば安心ですが、おられなくても大きな問題はないでしょう。付き添いなしで手術を受けに来る方も多くいらっしゃいます。

Q 手術に要する時間の事ですがどのくらいかかりますか?
A 単純な硝子体手術のみを行う場合は、25分〜40分の手術時間を想定しています。白内障手術を同時に行う場合はプラス10〜15分となります。術中に網膜剥離などが見つかった場合などは、1時間半〜2時間の時間を要する場合もあります。

Q 費用はいくらくらい必要ですか?
A 黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)手術の場合、手術代が、1割負担で4万円前後、3割負担で12万円前後とお考えください。白内障手術を同時に行うと、1割負担でプラス6千円、3割負担でプラス2万円となります。

Q 麻酔はどんな方法なのでしょうか。
A 局所麻酔です。麻酔薬を準備段階で点眼し、手術開始時にテノン嚢注射で投与します。手術中麻酔が切れてきた場合は、注射で追加します。

Q 黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)手術のリスクにはどんなものがありますか?起こった場合、どのように対処されるのでしょうか?
A

黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)に対する硝子体手術の合併症として、眼内炎・駆逐性出血・増殖硝子体網膜症、一過性高眼圧症、一過性低眼圧症、硝子体出血、網膜裂孔、網膜剥離、黄斑円孔、などがあります。
眼内炎・駆逐性出血・増殖硝子体網膜症、網膜剥離、黄斑円孔などに対しては再度硝子体手術を行う必要があります。一過性高眼圧症に対しては、点眼・内服などの投薬治療、一過性低眼圧症に対しては眼帯・創口の縫合、網膜裂孔に対してはレーザー治療、硝子体出血に対しては1〜2週間の経過観察にて吸収されない場合洗浄を行います。

Q 手術後に網膜剥離を起こす可能性はどれくらいですか?
A 報告されている確率にはばらつきがあります。元々の病気にもよりますが、起こる確率はそんなに高くはないでしょう(大高注:横浜相鉄ビル眼科医院での鄭先生の執刀ではだいたい2年に1例程度。1%ぐらいと考えます)。

Q 硝子体を除去することによる支障には何がありますか?
A 硝子体は幼少時には衝撃を吸収しているとも考えられていますが、どんな働きをしているかのすべてはまだわかっていません。現状では、取り除いても大きな支障はないと考えられています。

Q なぜ黄斑上膜(網膜上膜、網膜前膜、黄斑前膜)を取るのに硝子体を除去する必要があるのですか?
A 硝子体は細かい繊維の塊で、しかも網膜にへばりついています。硝子体を除去しないと、硝子体の繊維が手術器具にからみつくし、さらに無理手術器具を入れると網膜裂孔が起こったりするからです。

Q 仕事をしておりますので、休暇は最小限にしたいが可能でしょうか?
A 標準的には、月曜日に手術、外来受診は火曜日・水曜日・翌週火曜日、その後は経過に応じて受診間隔を開けていくという予定です。お仕事の内容にもよりますが、手術後3日目くらいから仕事復帰される患者さんがおられます。目の中にガスを入れた場合は、約1週間は安静にされたほうがいいでしょう

Q 会社の定期健康診断で眼底検査の結果、2年連続で「右眼黄斑前膜の疑い」(要精密検査)と指摘されました。現在、メガネを掛けており、矯正視力で0.8くらいです。(右眼のみメガネの度が合わなくなっていますから病気が原因なのでしょうか?)歪んで見えるなどの症状は今のところありません。この病気について色々調べましたが、手術が必要となった場合、手術の巧拙が術後の経過を大きく左右すると。まずは精密検査を受けようと思いますが、どこの眼科に行けば良いか判りません。

A 以前は矯正視力が1.0以上であった、左眼の矯正視力は1.0であるのであれば、たしかに黄斑前膜が視力低下の原因になっている可能性が高いですが、右眼視力低下の原因をしっかり検索する必要があるでしょう。黄斑前膜を診断するため、また黄斑前膜の原因を検索するためには、眼底検査とOCT検査(網膜の断層撮影)を施行された方がいいと考えます。近くの眼科を受診されるのであれば、網膜専門医がいてOCT検査を行える施設を選択されることをお勧めします。

Q 過去に硝子体手術を行っている場合(特に血管との癒着している可能性がある場合)、網膜上膜の手術は避けたほうがいいでしょうか?
A 10年前に網膜剥離に対するバックリングや硝子体手術を受けておられるので、網膜上膜と血管との癒着よりも、網膜上膜と黄斑部(中心窩)との癒着が強度である可能性が高いと考えます。癒着が強度である場合の問題点には大きく分けて二つあります。一つ目は、網膜上膜を剥離する過程で黄斑円孔ができる可能性が高いこと。二つ目は、視力の回復・症状の軽快に時間が掛かる、回復・軽快度合いに限界がある場合があることです。ただし、黄斑円孔ができた場合はガス置換(剥離手術の際に経験されていると思いますが、手術終了時に目の中に気体を入れて円孔閉鎖を目指します)することにより、95%以上の確率で治癒します。放置しても自然軽快する可能性は低いので、手術を受けられて改善する可能性に挑戦する価値は十分にあるでしょう。

Q 黄斑前膜という病気の治療はネットで調べたところ視力が0.5ぐらいになったころに手術をするのがいいらしいということを知りましたが、手術のタイミングは視力が低下してからですか?
A 視力のいい段階で(早期に)手術を行えば、いい視力・歪みの改善が期待できますので、当院では視力が1.0でも患者さんが歪みなどを自覚され、リスクを納得の上で手術を希望されれば手術を行っています。0.5でもお困りでなければ、そのまま経過観察することもあります。一概に視力がいくらで手術を行うのが妥当、ということはないでしょう。

Q 黄斑前膜の手術は難しいのでしょうか?
A 硝子体手術という方法で手術を行います。簡単ではありませんが、硝子体手術の中では難易度はそんなに高くないでしょう。(大高注:鄭先生にとってはそうなんでしょうか。普通の眼科医にとってはマジで難易度高いです・・・)

Q 横浜相鉄ビル眼科医院では、この手術は何例ぐらいありますか?
A 当院では一月に4,5例、黄斑上膜に対する硝子体手術を施行させていただいております(鄭医師は他院でも施行しており、合計では月に最低10例は施行していると考えます)。

Q 以前、受診した病院で、網膜に孔が開いているとのことでレーザー治療を受けております。その網膜の孔が黄班前膜の原因の一つではないかと言われました。もし、そうだとすると今回手術を受けても、孔を塞ぐことができないのであれば、再び黄班前膜の症状が出るということでしょうか?
A 網膜裂孔が黄斑前膜の原因である可能性が高いと考えますが、硝子体手術後に前膜が再発する可能性は低いでしょう。

Q 手術時に黄斑円孔になった時は再手術が必要ですか、それとも、同時に手術を行いますか?
A 黄斑円孔になった場合は同時に処理します。処理方法は内境界膜除去術と液空気置換術です。

Q 横浜相鉄ビル眼科医院で手術を受けたいのですが、遠くて行けません。適当な病院を紹介頂けませんでしょうか?
A 自分たちは、この病院でだめなら世界中どこに行ってもだめだと思っていただけるような最高の手術を施行することだけに全エネルギーを集中させておりますので、紹介を得意な仕事としておりません。もちろん近隣にも手術の上手な先生はたくさんいらっしゃると思うのですが。たいへん申し訳ございませんが、ご理解をお願いいたします。


よくある質問:手術時に入れるガスについて

Q 目の中に気体を入れることがあると聞きましたが、目的は何ですか?また入れた場合にしてはいけないことはありますか?
A 目の中に気体を入れる(専門用語で「ガス置換する」と言います)のは、網膜のしわを伸ばす、網膜裂孔を閉鎖させる、網膜復位を得る、黄斑円孔を閉鎖させる、などを目的としています。ガス置換した場合、仰向けで寝てはいけない(うつ伏せやうつむき、横向きで過ごしていただきます)、飛行機に乗れない、などの制限があります。気圧の関係で眼圧が上昇するために、ガスが残存している約10〜14日間は飛行機には乗れません。

Q どれぐらいの患者さんの目の中に気体を入れるのですか?
A 約30%です。

Q 硝子体手術を受けてから9日経ちました。術中に気体を入れたのですが、昨日小さかった眼の中に見える気体は今朝から消えて見えなくなりました。そのかわり数日前から気になっているのは左目だけにやたら見える黒い小さなものです。右目でも見えているのかもしれないのですが右目は全然気になりません。飛蚊症かなと思うのですが。あと左目だけで見ると真ん中あたりがややぼやけて見える感じがします。白目のところにある血液はだいぶ減ってきました。
相変わらず上を向かない仰向けにならないようにしています。洗髪のときは水泳用のゴーグルを使用しています。車の運転をするのは診察していただいてからがいいでしょうか?外を歩く時はサングラスをかけたほうがいいでしょうか?
A 目の中のガスは消失したようですので、仰向けになっていただいて構わないです。黒い小さなものは、炎症細胞や目の中の濁りのようなもので、時間と共に薄くなっていくと考えられます。真ん中のぼやけも時間と共にましになることが期待できます。洗髪時のゴーグルはもう止めてもいいでしょう。
車の運転は、徐々に再開していただいても構わないでしょう。外出するとき、眩しければ、サングラスで保護してください。

Q よく見かける「うつぶせで」の必要はありますか?
A うつ伏せになるかどうかは、黄斑円孔、網膜裂孔、網膜剥離が手術中に発生もしくは発見されるかどうかによります。黄斑上膜は網膜(特に黄斑部)に強く癒着していることがあり、膜を剥がす際に上記が発生する可能性があります。また、黄斑上膜が出来る体質の方は硝子体に何らかの異常があるわけで、もともと通常の眼底検査では見つからないような周辺部に硝子体の変性に伴う網膜裂孔や網膜剥離があることも多いので、うつ伏せが必要になる可能性があります。
必要になった場合には、日帰り手術でも、ご自宅でうつ伏せ・うつむきになっていただいています。


よくある質問:白内障同時手術について

Q 硝子体手術と白内障手術を同時に行うことを勧められましたが、白内障がないのになぜですか?
A 硝子体手術を行う50歳以上の方には、白内障がなくても同時手術を行うのが標準的です。理由は、50歳以上の方に対して硝子体手術を行った場合、白内障が進行する速度が速くなることが多いからです。ただし、60歳未満で白内障手術を同時に行わないことを希望される方には、メリット・デメリットを説明した上で、強く希望された場合や、近視の度数が強いために白内障手術を行うと左右でアンバランスになる場合などには白内障手術を同時に行わないこともあります。

Q 水晶体再建術(白内障手術)を硝子体手術と同時に施行するメリットは何ですか?
A 同時施行の場合、切除できる硝子体量が多く、術前術後の飛蚊症、眼内炎リスクを軽減できます。また、網膜裂孔・黄斑円孔ができて空気置換した場合でも、楽な姿勢を取ることが可能になります。(水晶体を温存した場合は、空気が入っている約10日間、かなり厳格にうつ伏せ・俯き姿勢を維持できないとガス白内障になりますので)水晶体再建術をより安全に施行できます。(50歳以上の方に対する硝子体手術後、核硬化白内障が急速に進行する可能性が高く、硝子体がない状態での水晶体再建術は核落下の危険性が高くなります)硝子体手術により水晶体を損傷することがありません。屈折矯正術としての効果が期待でき、近視が軽くなります。

Q 水晶体再建術(白内障手術)を硝子体手術と同時に施行するデメリットは何ですか?
A 水晶体再建術を施行するとほぼ完全な老眼状態になります。また、短期的には、左右眼で明るさや色の見え方に違いがでます。

Q 白内障の手術も同時に行うとのことですが、度数の設定などはどのようになるのでしょうか?左右の視力が極端に違うのですが・・・
A 視力よりも屈折を基準に考えて眼内レンズの度数を選択することになります。屈折とは、目がどれくらい近視なのか遠視なのか、ということを意味します。

Q 「多焦点眼内レンズ」を入れられるでしょうか?できれば多焦点を使用したいと思うのですが。
A 残念ながら、白内障以外の眼疾患を有する場合、多焦点レンズの適応にはなりません。また、多焦点レンズは保険適応がなく、硝子体手術と同時に行うこともできません。

Q 白内障の手術により調節能力(ピント合わせ)が失われることによる支障はありますか?
A ほぼ完全に老眼状態になりますので、遠くか中間か近くかのどこか一点には焦点が合いますが、それ以外の場所にピントを合わせるためには眼鏡が必要になります。


よくある質問:術後の事について

Q 術後の注意点は何ですか?
A
術後にいったん落ち着いていた状態であったにもかかわらず、激しい痛み・霧視感・強い充血が出てきた事を自覚されたら直ぐに連絡してください。最も重い合併症である眼内炎を早期発見することが目的です。また、術後最低3カ月は激しい運動を避けることが大切です。

Q 手術後の通院はどの程度の間隔でおこなうのでしょうか?
A 日帰り硝子体手術は月1〜2回の月曜日に日を決めて行っています。その後の診察予定は、手術翌日の火曜日・手術翌々日の水曜日、手術後の経過に応じてその週の週末または1週間後、それ以降は希望に応じて徐々に間隔を開けて横浜に通院されるか地元での診察かを選んでいただくことになります。

Q パソコン等を使った事務仕事は手術後どのくらいたてばできるようになるのでしょうか?
A 目の中に空気かガスを入れて手術を終了する場合は、うつ伏せやうつむきの姿勢が約10日間必要になります。運転もデスクワークも空気かガスが入らない場合は直ぐに可能ですが、入った場合約1週間前後は制限されることがあります。

Q 手術後何日ぐらいで、車の運転をしても大丈夫になるのでしょうか?
A 手術後数日で眼帯を外すことは可能でしょう。運転がお仕事で必要な方は、手術翌日から運転される方もおられますが、感覚をつかみながら少しずつ慣れられた方が安全です。一応、手術後1週間くらいを目処にされてはいかがでしょうか。

Q 普通の生活はいつ頃からできますか?
A 手術後約1週間で日常生活に関してはほとんど制限がなくなります。空気が眼の中に入った場合は約2週間です。

Q 手術後の後遺症(たとえば痛みが残る、眼に異物感が残る、など)はありますか?
A 目の表面はたいへん敏感です。しかも、硝子体手術は大手術です。傷口が完全に落ち着くまでには少なくとも2〜3ヶ月、長い人で6カ月ぐらい掛かりますので、その間、異物感が残ることがある事をご了解いただければ幸いです。永久に異物感が残ったという方は今まではいらっしゃらないです。

Q 眼鏡の調整時期ですが、いつごろがいいのでしょうか?
A 眼鏡作成は、手術後3ヶ月経過して、度数の変動がなければ、可能となります。お急ぎで、例えば手術後1週間で暫定的に作成される方もおられますが、度数が変わって使えなくなったらみなさんのお金がもったいないので、不自由でなければ、しばらく待たれることをお勧めします。

Q 手術後どれくらいの期間、眼を使わない方がいいのでしょうか?HPではすぐ仕事にもどられた患者さんのことが載っていましたが、細かい字などはどうでしょうか?パソコン等を使った事務仕事は手術後どのくらいたてばできるようになるのでしょうか?2週間くらいでしょうか?
A 特に制限は設けていませんが、眼の中に空気を入れなくてもいい状況(網膜裂孔、黄斑円孔、網膜剥離ができなかった場合)であれば手術後約1週間でパソコンなどを使う仕事への復帰は可能でしょう。眼の中に空気を入れた場合でも違和感はあるでしょうが2週間も眼を使ってはいけないということはないでしょう。

Q 術後に今より視力が上がらない場合もあるか、見えなくなることはありますか?
A 視力はほとんどの患者さんで改善しますが、黄斑上膜ができてから長期間が経過されている方は改善に時間を要する可能性が高くなります。ゆがみの軽減に関しては、視力改善よりもさらに時間が掛かります。
見えなくなる可能性もゼロではありません。起こる危険性は低いですが、眼内炎・駆逐性出血・増殖硝子体網膜症などの重篤な合併症が起こってしまった場合に、視力が低下する可能性があります。


質問のある方は、以下の鄭のアドレスにメールを下さい。できる範囲でお答えしております。

鄭メールアドレス mamorutei@gmail.com


mail: 鄭医師 mamorutei@gmail.com (網膜硝子体専門医、横浜相鉄ビル眼科医院 火曜日担当) 

otaka@isao.com :大高医師メール (月水金担当)

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